新入社員たち

カフェテリアで見かけた新入社員

ことしもオフィスに多くの新入社員がやって来ました。
イラストは、オフィスのカフェテリアで出会った新入社員の女の子です。あいかわらずショートボブなのです。

大学でたくさん勉強し、たくさんの経験をし、就職試験の難関をみごと突破した金の卵たち。
この新しいオフィスでも多くの勉強をし、そして国境を越えて多くのビジネスに携わり、多くの価値を生み出すことが期待されています。

いつも利用させてもらっているカフェテリアにも、多くの新入社員たちが朝食をとっていました。
この会社に入れたことは、本人たちは勿論、両親たちもとても誇りに思っていることでしょう。
将来に対する希望を胸にし、光り輝く未来に向けて、スタートラインを踏み出しました。

考えてみると、彼らはまだ私の半分くらいしか生きていないのですね。
ワールド・ワイド・ウェブもWindows 95も、彼らが生まれた頃には既にあり、
子供時代には堀江貴文の名前を聞いていたことでしょう。
自分の年齢が今の倍になった頃に、仕事を通じてどんな経験をし、知識を蓄積し、どんな社会に変わっているか。計り知れない可能性を秘めています。
仕事を通じて、様々なことを経験して、より高い価値を生み出すことに喜びを感じ取れるようであってほしいです。

エレベータで二人組の女の子がエレベータで目的地にたどり着けないと困っていました。私は彼女たちに一旦1Fへもどるようにガイドをしました。
オフィスに慣れていない彼女たちに先輩面できたのはちょっとうれしいです。
あわよくば連絡先を交換して…なんてことは夢にも思いませんでしたが。

いずれ私の何倍もの価値を創造できる日が来るのかな、それとも早々と結婚して家庭を築くのかなと思うと悔しいですが、会社のこれからの20年を担う大切な存在です。
会社に、社会にどんなイノベーションを起こせるのかが楽しみです。

私が新入社員だった頃

当時は「就職氷河期」と呼ばれ、バブル経済が終焉して日本経済が労働者を受け入れなくなった時代でした。
また、私自身大学で化学工学に対する意欲を失い、就職活動も諦めていました。

しかし、「Macを使ってクリエイティブな仕事がしたい」の一心でDTPの仕事を必死で探しましたが、「経験者優遇」に阻まれてなかなか決まりませんでした。就職活動中も高価なソフトであるIllustrator 5.5Jを自分で購入して勉強していました。

やっと入社したのが神楽坂にある小さな製版会社でした。DTPに関する実務経験はなく、PhotoshopもQuarkXPressもまともに使えませんでしたが、
デジタルクリエイターになることと、DTPにおける熱い想いは誰にも負けませんでした。
他に入社した同期の仲間..という概念は存在しません。

初日は確か、大塚へ行ってワークステーションを介して出力する方法を教わり、帰ってからMacにフォントをインストールしたのを覚えています。
大手は社員に対して研修を行い、社会人としてのマナーやオフィスでのルールなどをたたき込まれるのですが、そういったこともありませんでした。
無償で職員に食事が振る舞われる社員食堂なんて夢のまた夢です。

私の願い

このオフィスに限ってはそんなことはあり得ないと言いたいのですが、決して会社に時間と報酬を搾取され、高稼働によって疲弊させられ、心も体も病んだ上に、使い捨てにされるような人生を歩むことのないことを切に祈ります。

経営者は労働者をコストとしてしか見ないのではなく、熟練によりより高い価値を生み出せる財産として、大切に扱うべきです。労働者の生み出す価値(Product)は、それを生み出す能力(Product Capability)を超えることはありません。これを「P/CPバランス」と言います。能力を維持するためには余暇が必要です。労働者に休息や業務改善のための活動、運動、勉学や友人・恋人、家族との交流、宗教的活動などにも時間を割けるようであって欲しいです。それらの活動によって、人間性も高められ、より価値のある成果を上げることができることを理解して欲しいです。

夜中になっても明かりが煌々とついている高稼働の現場では、労働者は疲弊しています。人間性も損ねられ、職場の士気も下がり、不平不満を抱えることになります。また毎日のように病欠で会社に来られない人が出て、まるでミアズマが現場に漂っているかのようです。
家に帰っても、布団に入って寝るだけ。そして休暇は疲れを癒やすために多めに寝ます。仕事の不満を家族にぶつけ、家族との信頼関係も消えてしまいます。どこへも出かけられず、せっかく稼いだお金も憂さ晴らしのためだけに使われ、身につくことはありません。この繰り返しの一週間に、人間性を高めたり、プロフェッショナルとしてより高いレベルの能力を発揮するための鍛錬を行う時間もありません。

どうかオフィスで出会った彼・彼女たちが、そんな仕打ちを受けることがないよう、あらためて切に祈ります。

労働者の稼働時間を上げることだけが「生産性を上げる」ことではありません。顧客の利益を最大化させるためにできることを主体的に考え、実行し、それを検証し、イノベーションにつなげていくことが大事です。そこにいかに時間とエネルギーをかけられるかどうかで、生産性の向上のためのアイディアが生まれます。

結果的に少ない労働力で、最大のパフォーマンスを上げることに成功するのです。
そんな現場や社会を築いていくことをのぞみます。

イラスト制作情報

使用アプリケーションは以下の通りです。基本IllustratorとAnimateのコンビです。
意外と木目の作成と、テクスチャマッピングが困難を極めました。

  • Adobe Photoshop Sketch:下書きとして
  • Adobe Animate CC Mac版:iPadのAstropadで操作してペン入れ、網伏せ
  • Adobe Illustrator:仕上げ
  • Adobe Illustrator Draw:木目と手書き文字の作成

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