Animate CC(旧Flash)はイラストレーションに使えるか

Flashの前身、Smart Sketch・FutureSplash Animator
私はFlashの前身であるSmart Sketchのころから、ドローイングツールとして愛用していました。ペイントツールのように鉛筆、消しゴム、バケツなどのツールを用いるのに、書き出されるのはIllustratorで使用するベクター画像なので、ラスター画像のように拡大してもぎざぎざが目立たつことがありません。
イラストレーターであるまつむらまきおさんは、Illustratorでファンシーなイラストを描いていましたが、Smart Sketchを併用するようになりました。たしかにまつむらさんのイラストはSmartSketchのようなドローイングツールに適したイラストなので、相当作業効率が上がったのだろうなぁと思いました。
その後もSmart Sketchは、FutureSplash Animator、Flashと名前を変え、今年Animate CCに名前を変えました。まつむらさんは、MacromediaがAdobeに買収されるまでのFlashに関する本を執筆していて、そこでイラストレーションやアニメーションの紹介をなさっていました。
そんな私もまつむらさんのイラストにセンセーションを受け、私もSmart Sketchを導入したわけです。
私が描くイラストがベクター画像で、当サイトで公開されている同人誌がPDFなのも、Illustratorで線を描き、Flashで網を伏せ、Illustratorに戻って仕上げるというワークフローが元になっているのです。
Macromedia がAdobeに買収されて
ユニークなドローイングツールであることには変わらず
FlashはWebで配信するアニメーションを作るツールとして広く知られるようになりました。私も同人誌のプロモーション動画を作成するのに活用いたしました。
しかし、私はFlashがアニメーション作成ツールであるとは認めていません。
なぜなら、Flashをドローイングツールとして見ても、ユニークであることは変わらないからです。
線を鉛筆ツールやペンツールで描き、線で囲まれた部分をバケツツールで塗ることができます。Illustratorでも「ライブペイント」という機能がありますが、それを使うと独立したオブジェクトになってしまい、編集に制約が出てしまいます。その点Flashでは図形、塗りの区別無く、囲まれている部分だけにバケツで色を塗ることができます。
あと、鉛筆やペンツールで描いたラインを、選択ツールでつまんで曲げることや、スムージングをかけることができます。鉛筆で描いた線が多少ゆがんでも、その線を選択してスムーズにすることができます。このファジーな感じはIllustratorでは真似ができません。
Illustratorとの親和性が悪くなる
ところが、アニメーション機能に特化するという選択をしたことで、Flashの使い勝手がどんどん悪くなっていきました。
中でも、Adobe Illusrtor書類の読み書きができなくなったのは決定的です。Macromediaの頃はできていたのに…
Flash CS6あたりになると、せっかくFlashでイラストを作っても、ベクター画像に書き出すことすらできなくなりました。
これはFlashは「アニメーションを作るのに使うもの」と完全に決めつけてしまっている証拠です。
Flashで制作したアニメーションを、フィルムコミックやポスターなど、メディアミックスを行う場合はどうやっているのでしょう。
Flash CCではSVG書き出しができる
SVGとは、xmlベースのページ記述用語で、Webなどで公開するのに適したグラフィックのようですが、セキュリティ問題の懸念があり、WordPressでは対応しておりません。
FlashからIllustratorで編集できるベクター画像を書き出すには、この方法しかないようです。
Adobe Animate CCで強化
Animateって
名前がAnimateに変わったので、ああ、もう完全にアニメーションを作るツールなんだな。完全に印刷を考慮しなくなったのかなと失望し、しばらくアップデートしていませんでした。
しかし、Adobe Animate CCのサイトを読んでみると、そうでもなさそうでした。
Illustratorファイルの読み込みが強化
Illustratorファイル(.ai)の読み込みがサポートされました。末期のFlash CCでも対応していましたが、さらに強力になったとのことです。
レイヤーを保持したい状態での読み込みができますので、レイヤーごとに書き出す必要が無くなります。
Illustrator並みに使えるペンツール
まったくIllustratorと同じではありませんが、Illustratorと同様のツールが揃い、ベジエ曲線をIllustratorと同じように描くことができるようになりました。
これはありがたいです。わざわざIllustratorで下書きをしてからFlashに取り込んでいましたが、これからはAnimateで直接描画することができることが期待できます。
相変わらずIllustrator(.ai)で書き出せず
しかし、できあがったアートワークは、SVGで保存するしかありません。
Macだと印刷>PDF保存ができると思いましたが、印刷すらできません!
あくまでも最終的な成果物はアニメーションであることには変わりは無いようです。
SVGをIllustratorで読み込むと、レイヤー構造を保持できず、同じ色で塗ったオブジェクトが、単一のオブジェクトとして扱われるのは不便です。
試しにAnimateで描いてみたのがこちらです。
また「この美術部には問題がある!」の宇佐美みずきですが…
まとめ
- Animate CCは読み込み・描画機能も強化され、グラフィック目的でも乗り換える価値はある。
- 書き出しはシンプル。ベクターを保持する書き出しはSVGのみ。
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